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泉美木蘭
2019.12.5 22:24日々の出来事

『蘭』

昨日の朝刊1面が日本の高校生の「読解力」が落ちている
という記事で、すごく気になっていたので、
今日はその実際のテストを探し出して、自分で解いてみた。
なるほどな。大人でも解けない人が多そうだ。
ライジングで書いてみる。

中学生の時だったと思うけど、国語の試験でいまでも印象に
残っているのが、竹西寛子の『蘭』という短編を題材にした
問題だった。

いや、問題の内容は忘れたけど、作品がね。

戦時中のむさ苦しくて身動きの取れない満員列車のなかで、
歯が痛み出して苦しむ息子が、耐えかねて父親に訴えると、
父親が、日頃から自慢していた祖父の形見の蘭の絵の扇子を
出して、いきなりそれを二つに引き裂き、骨を楊枝にして

差し出すという話。
なんだか試験中なのに、物語の中の息子と同じ気分になって、
やたらと衝撃を受けて、

その後、全文読みたくなって図書館で借りたのだった。
全文といっても、10ページもないんだけど。

この短編の読解は、合理的な人間関係ばっかり考える人が
増えた現在では、かなり難しくなってるかもしれない。
人が心のなかで感じ取っていることを、論理的かつ具体的な
言葉で説明しない
タイプの作品だから、
「え、この息子、なんでこんなに衝撃受けたのかわからん」とか
「えっ、父親に扇子を裂かせたのは息子以外の誰なん?」とか
はてなマークがいっぱいつきそう。
読んだことある人がいたら、語り合いたいぜ。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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